「ほそログ」

かっせ@ほそうで管理人の「旧車ほそうで繁盛記Weblog」+「日常+PC+カメラ日記」

救うのは太陽なのか

なんだか鳩山首相温室効果ガス80%削減のハナシがすっかり国内合意が得られたかのように繰り返してらっしゃるみたいなんですけど、いいんでしょうかねえ。それはさておき、80%削減への道について考えてみたので、まーひとつバカバカしいお話を一席といきましょうか。

本日は発電方面について考えて見ます。例によって例のごとく大雑把な数字と計算でいきますよお。


現在、日本の年間発電総量は、

約1兆kWh

このうち問題の二酸化炭素を吐き出す火力発電は62%

約6200億kWh

とする。あくまでおおざっぱな数字なのであしからず。
http://www.acci.or.jp/energy/energy/en01/en02_r7_c1.gif
みんなで考えるエネルギー(青森県エネルギー問題懇談会)「世界と日本のエネルギー事情」より)
いろいろな問題から、二酸化炭素を吐かない原子力発電も水力発電も増加は困難。ほかに有力な発電方法がないものとして、11月1日より売電価格が1kWhあたり48円になった一般家庭用太陽光発電システムでこの6200億kWhの80%、約5000億kWhをまかなう方法について考える。
(注:1kWh(キロワットアワー)は1kW=1000Wの電力で1時間使用したときの消費電力量。消費電力量=消費電力×時間量。1kWhは100Wなら10時間分。)
さっとググってみたところ、省エネドットコム「発電シュミレーション」で、太陽光発電を一般家庭に導入した場合の年間の発電量やら家計負担軽減の計算ができるので利用してみた。「大き目のシステム4.22kW」太陽光発電システムを設置したとして、発電量は県ごとに異なり、各地で試してみたが、青森県でも年間約4,000kWh発電できるとあり、多いところで四国などは約4600kWhとある。もちろん天候などによって上下するし、お屋根の大きさによっても増減するが、1kWあたり年間1000kWhは発電できそうだ。
ならば、5000億kWhを発電するために必要な太陽光発電システムは5億kW分もあれば十分。上述の「大き目のシステム4kW級」

1億2500万戸が設置すれば見事80%削減達成!


・・・日本には約1億3000万人が住んでおり、住宅戸数はたしか約5000万戸しかないんすけど。
しかもマンションやアパートなどお屋根をお持ちでない方々が何割か存在するんすけど。
今のところ(正確な数字はわからないが)太陽光発電システムを導入しているのは40~50万戸ということなので、普及率はほんの1%。これが4kW級を100%導入したとしても目標の5000億kWhの半分もまかなえない。

吉永小百合さんのおっしゃるように、「救うのは太陽」だとしても、一般家庭用太陽光発電システムでは全然ダメ。足りないのだ。

さて、現実的には一戸建て2000万戸が4kW級導入で年間発電総量が800億kWhが限界というところか。(私見です。ちなみに1戸建ては2700万戸ぐらいらしい)あと4200億kWhはどうすればいいのだろうか。
え?工場やビルにもパネルつければいいって?ま、いいけど、前述の売電価格倍増は一般家庭のみに適用で、非住宅は24円のままなので導入が加速するとは思えないが、ある程度は期待できる。
では、宅地面積と工場面積を比べる資料として平成21年度土地白書を見たが、住宅地113万haに対して工場用地は16万haしかない。住宅地だって工場用地だってすべてが屋根とは限らないし、すべての屋根が発電に使えるわけではないことをあわせて考えると、やはり現実的には5000億kWhにははるかに届きそうもないことがわかるだろう。ついでに書くと、日本国土の約86%は森林や農地や河川などであり、太陽光発電には適さない。また、太陽光発電は火力や原子力発電とちがって使うところで発電することにメリットがあるので、どちらにしても使用地から大きく離れたところに大規模に設置するものではない。


なお、今回は発電のみに絞って考えてみたが、化石燃料消費は発電だけではない。自動車、船舶、航空機などの交通機関や工事等の重機の燃料消費も考え合わせると、アタマが痛くなってくる。80%削減は、どう見積もっても経済活動を大幅に減じなければ達成できそうにない数字だ。

ま、もちろん、わたしは何度も書いているとおり「地球温暖化二酸化炭素犯人説懐疑派」なので温室効果ガスを血眼になって削減する必要はないと考えている。だが、化石燃料が未来永劫無尽蔵にあるわけではない以上、新エネルギーの開発もしくは省エネルギーの推進には賛成する。その意味でわたしは別に太陽光発電に反対というわけではないのだ。

また、省エネドットコムの「太陽光発電設置のメリット5、6」にあるように、災害時にも電気が使えるメリットと、太陽光発電パネルの断熱効果のメリットは、投資としての太陽光発電システム導入の経済効果に上乗せするメリットとしてある程度魅力的である。4kW級の導入は300万円前後するが、上述の売電価格倍によって償却期間は従来の半分ちかくになった(15年ぐらいで元が取れる?)。売電価格倍増は10年間限定で、その後の売電価格はまだ不透明だが、上記メリットとあわせて考えると悪くない投資だろう。
だが、あくまでもこれは投資であって、投資である以上はギャンブルである。経済的に考えて勝てるものかどうかは保証の限りではない。なにか画期的な新エネルギーが発明されれば償却期間中にひっくり返る可能性もあるし、もちろん原油価格の暴騰がおこって一挙に勝ち組になれる可能性もある。
なので太陽光発電システムを導入したい方は、環境貢献度よりもむしろそちらを十分ご検討のうえで導入されると吉。



ここまで長文を読んでくださってありがとうございます。反論、ツッコミお待ちしております。引用、パクリ、自己責任でご自由にどうぞ。
しかしまあなんでこんな環境問題に関する計算を縷々やってるかっていうと、ホントは旧車に乗ってもいいじゃん!て言いたいがためなんすけどね。世の中すっかりハイブリットやらエコカー減税やらで旧車が悪役になってるぽいところあるんでね。(などとこじつけてみるのは最近クルマネタが全然ないからなんすけどね)